脳波スイッチによる認知機能訓練装置「ニューロトレーナー」の開発

一方、想定ユーザーの患者さん達に対するモニター実験を多数実施する過程で、高齢者や寝たきり生活の長い患者さんを対象とする場合に、事象関連電位の反応が弱いために標的の解読がうまくできない場合が度々ありました。そのような患者さんたちは、おそらく上述したMCIのような状態と推定されるのですが、認知機能が低下してしまっていてはいかなる意思伝達装置も効果的に使うことが難しいと思われます。そこで、少し回り道になるとは思いましたが、運動機能に障害がある患者さんでも実施することができる脳トレとして、脳波による認知機能訓練装置「ニューロトレーナー®」を開発することにしました。そして、開発を行うなかで様々な人達からのアドバイスを受け、ニューロトレーナーが高齢者に対する効率の良い認知症予防になる可能性があることに気づきました。高齢者人口を考えると市場規模も大きいので、脳波スイッチ技術の実用化、しかも量産化による低価格化が実現すれば、ハードウェアとしてほぼ共通なニューロコミュニケーターの製品化も進むと思われました。

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