着目する現象「事象関連電位」

頭の中の気持ちをテレパシーのように伝えられない代わりに脳波スイッチで絵カードメッセージを選ぶ方式を用いたニューロコミュニケーターと同様、ニューロトレーナーでも念力のようにジョイスティックや多数のボタンを押すことができない代わりに脳波スイッチでゲーム操作のできる仕組みが必要です。この問題を解決するために、これまで幾つかの異なる観点からニューロトレーナー用の脳トレゲームを開発してきました。その最初の取り組みが「紙芝居ゲーム」です。パソコン画面に同じイラストが繰り返し表示されているときに、違うイラストが出たことを検出して脳波スイッチを押すゲームです。何度も出るイラストを「A」、たまにしか出ないイラスト(標的)を「B」とすると、「A→A→A・・・→B」という構造になっています。日常生活でも「レアもの」は価値が高くて、人々の注意を引くように、頻度の低い現象の出現によって誘発される注意の高まりを反映して事象関連電位が出現することが古くからわかっていました。ただし、基礎研究では認知課題としてこのような試行を何十回も淡々と繰り返すだけで、面白くも何ともありません。また、データ解析も実験が終了後にオフラインで行って低頻度の標的が出た時の平均波形と高頻度の非標的が出た時の平均波形を比較して波形パターンの違いを比較して統計的な差があるかを調べることが一般的でした。

6ページ目