コンテンツ開発②:「ロボット操作ゲーム」

次に取り組んだのが、二者択一よりもたくさんの選択肢のある「ロボット操作ゲーム」です。ゲーム操作の仕方はニューロコミュニケーターと同様、「これかな」のフラッシュが選びたい絵カードのところに現れた時に「それだ」と思うだけですが、選ばれた結果はCGではなく、実物のロボットの動作として表現されます。用いたロボットは膝くらいの高さのヒト型ロボット「KHR Ver.2」(近藤科学製)で、可動関節が多いことで多様な動作が可能です。このロボットを用いて、ポピュラーなスポーツを中心としてロボットが演じると楽しい動作、例えばサッカーのシュートやバスケットのシュート、空手の瓦割など1セット8種類の動作を選んできて数セット登録しました。ここで問題となるのが、1回あたり、8種類もの選択肢があるということは、偶然で成功できる可能性は1/8(12.5%)しかないことです。偶然確率の高い紙芝居ゲーム(50%)と異なって、単一試行では50%も成功できないことがこれまでの経験からわかっていました。ロボットを用いたのも、ロボットが正しく動くのをみるためにやる気を引き出すための工夫の一つですが、それに加えてペア対戦で交互もしくは同時にゲームを実施することで、競争心も芽生えます。さらに、強い脳波が出続ければフラッシュを早めに打ち切って動作を表出できるようにしたうで、両者とも解読に成功した場合には早くロボットを動かせた方が勝ち、というルールにしました。これらの工夫でプレイヤーの集中力を高く保てたこともあって、高齢者を含む30名の方々に試してもらった実験では、平均4.5秒間のフラッシュ時間でも平均約80%の成功率で脳波スイッチによるロボット操作が可能であることが実証できました(長谷川ほか日本感性工学会論文誌2021b)。

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