bスポーツとしての実証実験と今後の展開(1)

他にも3DCGを駆使した臨場感のあるレースゲームなども開発し、複数の選択肢でも毎試行でのフィードバックを行うことができるシステムが集中力の強化につながる、いわゆる「ニューロフィードバック」の効果が高まるのではと期待しています。今後もロボットやドローンなどの移動体、VRなど様々な技術と融合しながら、ゲームコンテンツを追加していく予定です。ただし、脳波スイッチで様々なゲームができることを示すのはあくまで最初のステップです。本来の目的はニューロトレーナーの反復体験によって認知機能低下の予防や改善が可能なことを示すことです。そこで、筑波大学附属病院の医師の先生方との共同研究によって既存の認知検査を受けて認知機能低下はまだ認められていない方々(高齢者を含む10名の健常者、高齢者と若者の組み合わせで5ペア)を対象として、上述した紙芝居ゲームなどの反復体験の効果を検証することにしました。通常、脳波計測を伴う実験ではシールドルームや防音室で一人ずつ実験を行うことが「常識」です。それをあえて我々は、高齢者と若者のペアで同じ時間帯に被験者を呼び、すぐ隣の机で実験しながら、互いの実験結果(ゲーム成績)について勝ち負けの評価まで行いました。実験は6週間に渡って行いました。そのうち、第2~5週の4週間に渡って毎回2~3時間ずつ3種類の競技を行いました。現在、論文発表の準備中なので詳細は別の機会にご紹介しますが、全体としてゲーム成績の向上が観察されました。また、第1週と第6週で行った行動指標の比較によっても認知課題の成績に向上効果があることもわかりました。さらに、普段は近所に住んでいても交流の無い高齢者と若者が、「脳トレ」という同じ目的のために集まって、ロボットも用いる超能力のようなゲームをワクワクしながら体験して会話も弾む、という状況を楽しんでもらったことが実験後のアンケートからも確認できました。

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